会報記事 京都漱石の會の思い出 岡本安見

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 京都漱石の會の思い出  岡本安見

 帰りの嵐山駅のホーム。その方と目が合いました。覚えていて下さったのか、お顔つきが変わられた瞬間でした。私は怖気心を振り飛ばし勇む心で、お声をかけました。
 会場でちょうど正面の席にお客様として座っておられた末利子様。ろくに漱石を読んだこともなく、当日父の代理で参加していましたが、もうそんなことは頭にありませんでした。
 「今の時代だからこそ必要な人なんです。」
 「百年先を見抜いていた大天才です。」
 祖父漱石を語られる眼は輝いていました。その表情に目を奪われ傾聴するばかりでした。どんな受け答えをしたのか忘れてしまいましたが、漱石の孫ということを強く感じました。
 いよいよ京都駅。もうこれ以上は失礼と思いつつも、もっとお話を伺いたいなあという気持ちが強く残りました。
 後日、末利子様より小包が届きました。それは、直筆のサインが入ったご自身の著書「夏目家の福猫」でした。会に参加させてもらった上に、大変な余禄をいただいたという思いです。
 最後に、会についての印象を述べますと、はじめは正直なところ場違いな所へ来てしまったと思いました。しかし、時がたつにつれ格調高い雅びな雰囲気の中にも、私のような粗忽な新参者を暖く受け容れてくれる懐の深さを感じました。
 御世話いただいた代表の丹治伊津子様はじめ、参加者全員の皆様に改めて感謝申し上げます。

   (港南造形高校)



虞美人草 「京都漱石の會」会報 《第3号》 p.21 より



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